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いつものように序盤を制し、前半を28-13とリードした。
そしてこの日は、後半も失速することなく最後にギアを上げてファイナルスコアは49-27。
後半39分。髙橋汰地が自身テストマッチ初のトライを挙げたときには、笑顔の輪ができた。
いい光景だった。
9月15日(日)に秩父宮ラグビー場でおこなわれたパシフィックネーションズカップの準決勝で、日本代表(プールB/1位)がサモア代表に快勝した。
9月21日(土)の決勝でフィジー代表(プールA/1位)と優勝をかけて戦う。
前後半合わせて7トライを奪った日本。効果的なトライがいくつもあった。
前半終了間際にFB李承信が左中間に奪ったトライは、左ラインアウトから攻めた。
センタークラッシュからすぐに順目に展開して右端へボールを運ぶ。折り返しの攻撃で左へ。FW 陣が強く、そしてずらして、少しずつ前に出た。最後は6フェーズ目にSO立川理道→FB李で仕留めた。
キックオフから40分が経ち、苦しい時間帯。しかし日本のブレイクダウンの質は高く、高速でアタックを仕掛けられた。
一回一回の攻撃で前に出て、ラストパスのエリアにいたのは日本の5人に対してサモアは1人。そのシチュエーションに背番号10は、ためて、柔らかなパス。超速と判断が噛み合ったトライだった。
後半4分には自陣ゴール前のターンオーバーから攻めた。
CTBニコラス・マクカランが相手ボールをもぎ取って攻守逆転。SH藤原忍からのパスを受けたFB李が防御裏にグラバーキックを転がした。
このプレーへの反応が素晴らしかった。
WTB長田智希がチェイスしてボールを手にすると、タックルを受けながらつなぐ。キック後も走り続けていた李が受け、サポートのFL下川甲嗣へ。背番号7はタックラーをハンドオフで落として走り切った。
コンバージョンキックも決まって35-13となった。
酷暑の中での熱戦。お互いに疲労困憊の後半39分にも高い集中力を見せた。
左スクラムから縦に入ったCTB梶村祐介へパス。梶村は外へ回り込んだ李にボールを送り、最後はFBの位置に入っていた髙橋がタックラーを引きずりながらインゴールへ。
李のこの日7本目のコンバージョンキックも決まり、ファイナルスコアが刻まれた。
試合を終えたエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「チームをステップアップさせる試合だった」と選手たちのパフォーマンスを褒め、特に風下にも関わらず好スタートを切った前半について、ゲームをコントロールできていたことを評価した。
ラック周辺と、キック後のディフェンスは課題とした。
この日、ランプレーを好むサモアに対して、ミスタックルも少なくなかった。決勝で戦うフィジーの攻撃力はさらに高い。
次戦も同じように、多くの攻撃機会を与えていては厳しい。攻撃時間をもっと長くしたい。
しかし、反省点を踏まえても収穫が多い試合だった。
ボールを持ってのプレー回数は日本が359、サモアが178で、パスの回数も207と91。いずれも赤白のジャージーが圧倒した。
キックはサモアの15に対して日本は22。ボールを動かしながら賢く蹴った。
これまで課題だった22メートル内に入った時の決定力が上がった。 得点圏でのミスが減り、ユニット間のコミョニケーションが密になった。
立川主将は、「ホームで強いサモアに勝ったのはチームの財産になり、自信にもなった。前半、風下の中でしっかりゲームコントロールできた」と話した。
前戦に続き広い視野を持って動き、代表では初のFBでの先発ながらプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた李は、準備の1週間に「ポジティブなことを考えてきた」と話した。
「パス、ラン、キックを十分に出してチームに貢献しようと思っていました。フィジカルの強い相手に対し、ボールを動かし続けられた」
フィジー撃破と優勝のタイトル、その両方を手に入れられれば、チームの成長速度は一気に高まる。