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タックルの日。PGで引き分けに持ち込まれるも、サクラフィフティーン、アメリカ相手に引かず
先頭に立って体を張り続けたFL長田いろは主将。地元でのテストマッチにたくさんの応援。(撮影/松本かおり)
2024.08.12
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タックルの日。PGで引き分けに持ち込まれるも、サクラフィフティーン、アメリカ相手に引かず

田村一博

 
 キックオフは午後6時。バックスタンド裏の海の水面がキラキラ光っていた。

 8月11日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でおこなわれた女子日本代表×女子アメリカ代表のテストマッチは、まだ日差しが強い中でキックオフとなった。

 そんな環境下で、サクラフィフティーンの愛称で応援される女子日本代表が相手を運動量で上回った。
 大柄でフィジカル勝負の相手に、激しいコリジョンは数え切れないほど起こった。

 しかし、疲弊していったのは鷲のエンブレムの側。ワールドランキング7位のチームは、11位の日本相手にPGで引き分けに持ち込むのがやっとだった。

 先制トライはサクラフィフティーン。前半12分、相手陣深い位置でのラインアウトから一気にモールを押し込んだ。SO大塚朱紗のコンバージョンキックも決まり7-0。
 春からFWを鍛え込んできた成果が出た。

 アメリカは試合開始直後から、自分たちの強みを出して戦った。セットプレーで前に出て、ボールを持てばクラッシュ。
 なにがなんでも、日本の防御を力で崩そうとしてきた。

サクラフィフティーンのテンポを作ったSH津久井萌。(撮影/松本かおり)

 しかしサクラフィフティーンの選手たちは一歩も引かない。ダブルタックル。あるいは思い切って前に出て突き刺さる。
 スコアは30分過ぎまで動かなかった。

 アメリカが同点に追いついたのは31分になろうとする頃。ラインアウトからフェーズを重ね、最後はSHオリビア・オルティーズがゴールポスト下に飛び込んだ(Gも決まり7-7)。

 前半の残り少ない時間の中で、さらに互いにトライを奪い合った。
 35分過ぎの日本のトライはターンオーバーから。すぐに全員で反応し、最後はラックからのボールを判断よく攻める。SH津久井萌、CTB小林花奈子のコンビネーションでインゴール左隅へ。

 アメリカもハーフタイム直前、同じように左隅にWTBサマー・ハリスジョーンズが飛び込む。
 前半は14-12とアメリカリードで終わった。

 後半が始まる頃、海は夕日に赤く染まっていた。涼しい風が吹く。
 しかし、残りの40分は消耗戦に。前半同様、クラッシュを繰り返すアメリカを日本が止め続ける。抜かれても追いすがり、ボールをこぼさせる。この日、サクラフィフティーンは我慢くらべに勝った。

 日本は後半5分過ぎ、相手反則で得たPKから敵陣に攻め込み、ラインアウトから再びFWが押し込んで5点を加えた。
 17-14。3点リードの僅差は、残り2分まで続いた。

 粘り強く、何度でも前に出るディフェンスで相手のミスを誘い、勝ちかけた日本。悔やまれるのは同点PGを決められた時間帯、キックチャージなどに遭い、危険地域からの脱出がうまくいかなかったことか。

 テス・フューリー主将はゴールポスト正面ではあるけれど、敵陣深い位置、PKからラインアウト選択後に逆転トライも狙えるチャンスに同点PGを選択した。
 その理由を、「チームは22メートルライン内に入ってから得点できない課題を抱えている。なので、まずは加点してリセット、そこからもう一度攻めることを選んだ」と話した。

攻守両面でハードワーク。進化を見せたLO佐藤優奈。(撮影/松本かおり)

 しかし、攻め切ることは難しいと感じたからの判断でもあるだろう。
 主将、そしてシオネ・フコフカ ヘッドコーチとも、「日本のハードなディフェンスは予想していたが、あらためてリスペクトする」と赤白のジャージーのプレーを称えた。

 サクラフィフティーンの長田いろは主将は、FWキャンプで体と頭に叩き込んできたことを出せたことに笑顔を見せた。
 勝てなかったことは悔しいけれど、「それぞれのユニットでやるべきことをやり、攻守の切り替えのチャンスにトライを取り切れたことはチームの成長」と話した。

 ラインアウトやブレイクダウンでよく働き、80分間体を張続けたLO佐藤優奈は、「勝つためにやってきたので悔しい」と言った。
 この日の暑さや疲労も特別と感じないくらいのトレーニングを積んできた。そして、練習でやったことはパワー自慢の相手にも通用し、低さとコネクションは最後まで自分たちの武器になった。

 相手もコンディションと結束を高めてくる8月17日、静岡での第2テストは、北九州で感じた手応えが本物かどうか問われる戦いになる。

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