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身長201センチ、体重117キロの22歳。ラグビー日本代表きっての大器、ワーナー・ディアンズが話したのは6月11日。宮崎合宿中のことだ。
9年ぶりに復帰したエディー・ジョーンズ ヘッドコーチより託されたメッセージ、6月22日に東京・国立競技場であるイングランド代表戦への意気込みを明かした。
——この日は、20歳以下日本代表と実戦形式練習をおこないました。外部の相手をつけた状態でジョーンズの謳う『超速ラグビー』を実践したのは、この日が初めてです。
「エクスキューション(遂行力)があればうまく相手の間や外を『超速』でアタックできる。ディフェンスも、ちゃんと自分たちでコネクトしたらうまくできます」
——向こうに少し抵抗されたシーンもありましたが。
「自分たちでコネクションが切れたり、コミュニケーションを取ってなかったりした。まだ(システムを本格的に導入して)3~4 日目。自分たちでコネクトしていかないといけない。それはできるだけ早くしないといけないけど、まだ成長できるかなと思います」
——キャンプは(6月)6日に始まりました。最初の実戦はその約2週間後。タイトな日程のもと、ハードなトレーニングに挑んでいます。
「きついっす。ただ、何て言うんだろう…きついとわかっていたら、全然、できる気がしますね。準備期間も短いし、このめちゃくちゃきつい練習も、たぶん、今週(16日まで)で終わり。来週(17日以降)はきつい日もあると思うけど、イングランド代表戦へのフォーカス(調整が主)になると思うから、そう考えれば全然(大丈夫)。身体はきついけど、いける」
——強いですね。
「ジェイミー(・ジョセフ前ヘッドコーチ時代の日本代表)もきつかったし、その経験から『代表に来たらきつい』とわかっている」
——いまのチームでロックの選手はどういう役割を求められますか。
「(グラウンドの)真ん中でキャリーして、起きて…ずっと動いている感じはします。フォワード、チーム全員、セットを速くするというマインドセットを持つ。そうすればキャリーの時もあるし、ブレイクダウンのクリーンアウトをしないといけない時もある。ディフェンスでもタックルのチャンスが増える」
——チーム内でディアンズさんがリーダーシップを取るエリアは。
「いまのところはラインアウト。ヴィクター(・マットフィールド=テクニカルアドバイザー)にいろんなことを相談したり、教わったりしている。試合まで時間が少ないから、とりあえずはシステム(のなか)で『こんな時はどうすればいい?』と細かいところを質問しています」
——マットフィールドさんは跳躍前の選手の足の位置がずれているだけで指摘すると聞きます。
「相手に(どこでジャンプするかなどを)読まれないように、毎回、同じセットアップをする(のが肝)」
——ヘッドコーチとの個人面談では、ディアンズさんは何と伝えられていますか。
「特に大きいことは言われてないけど、イングランド代表戦に向けて『マロ・イトジェよりいいパフォーマンスをするという目標を持って』と言われて。それぐらいですね」
——相手の主軸のロックがターゲット。
「いい目標ですね。はい」
——次の相手についてもう少し伺います。昨年9月18日(日本時間)にスタッド・デ・ニースであったワールドカップフランス大会のイングランド代表戦では、12―20とリードされていた後半22分から出場し、12-34で敗れています。
「プレータイム、少なかったですね。しかも負けている状態で、ずっと自陣でディフェンスしていて。あまり自分の強みを出せていない試合だったっす。ディフェンスでは何回かタックルできたけど、アタックのキャリーやラインアウトでプレッシャーをかけるチャンスがあまりなかった」
——そういう意味では、今度のイングランド代表戦は借りを返す場でもある。
「今週、頑張って、来週、メンバーに入れるように準備する。試合に出られれば、2年前のイングランド代表戦(日本時間2022年11月13日・トゥイッケナムスタジアム=先発して13-52で敗戦)や去年のワールドカップよりもいいパフォーマンスを出したいです」
——当日、ロックの相方はもともとフランカーだったリーチ マイケルさんになるかもしれません。本人が懸念していたスクラムの押し、いかがですか。
「どんどん、うまくなっています」
万事における速さで爪痕を残す。イトジェに勝つ。