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【Just TALK】呼ばれたらラッキー。服部亮太[早大2年]
スポーツ科学部に学ぶ2年生。178センチ、80キロ。帆柱ヤングラガーズ出身。(撮影/向 風見也)

【Just TALK】呼ばれたらラッキー。服部亮太[早大2年]

向 風見也

 昨季の大学ラグビーシーンを沸かせた早大の服部亮太が、リスタートを切った。

 4月20日、東京・早大上井草グラウンド。「第14回関東大学春季交流大会Aグループ 第1節」で司令塔のスタンドオフとして先発した。後半途中からは最後尾のフルバックに移り、大東大を57-26と下した。80分フィールドに立った。
 
 自軍キックオフの蹴り込みなどでミスがあったのを反省しつつ、昨季終了後からの積み上げへの手応えを口にした。
 
「かなりミスが多くて、しっかり修正していく(べき)ところかなと。ただ、僕自身としては去年、80分(フルで)出られた試合は少ししかなく、それも最後のほうは足がつってしまっていた。(それを受けて)1〜3月に仕上げてきたことで、今回は 80 分間を楽に試合ができた。そこは、成長したところだと思います」

 身長178センチ、体重80キロ。佐賀工高時代に高校日本代表となり、前年度はルーキーながら主力に定着した。ロングキックとスピードを長所に大学選手権決勝まで進み、最多記録を塗り替える17度目の大学日本一に迫っていた(準優勝)。

 今回は、4月6日に同じ場所であった練習試合(中大に60-7で勝利)から続き、この春2度目の実戦機会へ挑んだ格好だ。

ルーキーイヤーの昨季は関東大学対抗戦の全7試合に出場し、6戦で先発。全国大学選手権も全3試合でプレーした。(撮影/松本かおり)


——昨季終了後のオフは。

「3週間くらいあって。実家に帰省するなどいいリフレッシュができて、そんななかでも少しずつはラグビーを。復帰した時も、衰えみたいなのはなかったです」

——この春までの鍛錬について。

「ひたすらフィットネスをしたり、筋トレをしたりの繰り返し。そのフィットネスの成果が出ていると感じました」

——体重は。

「(昨季終了時より)1〜2キロは増えているかなと。このまま順調に増やせれば」

——あらためて、目標は。

「春はチームを仕上げる。初めて赤黒のジャージィを着る選手もいて、新チームになって違うことも出てくると思います。そんななか、仕上げる。そして今シーズンの目標は、去年獲れなかった『荒ぶる(大学日本一になった時に歌える第2部歌)』を獲ることです。去年、獲れなかった経験があるから、今年のメンバーで獲りにいく」

 同じ高校、大学の出身で元スタンドオフという大田尾竜彦監督には、こう期待をかけられている。

「(久々のため)ゲーム感覚でいろいろある(取り戻す過程だ)と思いますが、もっと精度は高めないといけない。2年生以降は主軸となり、やらなくてはならないプレーの質が変わってくる。そこを、求めたい」

 かつての名手のもとレベルアップが待たれるなか、「ジャパンタレントスコッド(JTS)プログラム2025」のメンバーにも名を連ねている。日本代表予備軍の若手育成計画でリストアップされたのだ。

 もっとも今年2、3月のJTSのキャンプ、さらにはJTSの精鋭部隊が「U23日本代表」として臨んだ4月のオーストラリア遠征には、参加しなかった。

 誠実に答えながら、時折、くだけた言い回しで場を和ませる。

——JTSについて。

「(加盟する関東大学)対抗戦、選手権でのプレーが評価されてメンバーに入りましたが、自分のコンディション、チームの状況というものがあり、行かない選択をしました。行かなかったことをマイナスに捉えず、この上井草でできることをしっかりやってきています。僕自身、あんまり後悔はしていないです」

——上井草で、じっくりと身体を鍛え直したかったのですね。

「(JTSでは)朝早くから動いているとも聞きます。僕自身は、慣れている環境で、コミュニケーションをたくさん取れる人と一緒にトレーニングしたほうが、(精神的に)楽で、ためになると感じました」

今季こそ「荒ぶる」を歌う。(撮影/松本かおり)


——JTSは早朝から「戦い」と呼ばれる格闘技風のセッションを組むなど、ハードだったよう。その情報は、早大からJTSに行ったメンバーから聞いていましたか。

「『お前じゃ無理』と言われていました! 僕、朝が苦手なので」

 JTSにも携わる日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、大学生世代のタレントの抜擢で話題を集める。

 2015年のワールドカップイングランド大会でジャパンを率いた時には、早大の藤田慶和(現・三重ホンダヒート)、筑波大の福岡堅樹(前・パナソニックワイルドナイツ)をスコッドに加えた。
 
 約9年ぶりに復職の昨年は、現早大3年の矢崎由高を抜擢した。服部への期待も高まるなか、当の本人はこのように締めた。

「もし(代表に)呼んでもらえるなら僕ができるパフォーマンスをします。ただ、『呼ばれたらラッキー』という気持ちでいます。自分がしっかりできることやって、それが認められれば、呼ばれるのかな…と考えています。先のことではなく、春にしっかりと勝つということをやりたい(目指したい)です」

 春季大会の2戦目は5月4日に実施。埼玉の敵地で東洋大とぶつかる。


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