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今季ここまで1敗同士の好カードだ。
3月14日、東京・秩父宮ラグビー場。リーグワン1部の第11節があり、戦前3位の埼玉パナソニックワイルドナイツが同首位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに32-30で勝った。
一進一退の攻防を繰り広げ、ラストワンプレーで逆転。スタンドオフとしてプレイヤー・オブ・ザ・マッチ受賞の山沢拓也選手が振り返った。
日本代表10キャップの31歳。身長176センチ、体重84キロのサイズでしなやかに走る。深谷高1年時に本格的に競技を始めてから、常に才能が注視されている。

——きょうはどんなゲームでしたか。
「タフな試合でした。クボタの強みを知りながら、そこに負けてはいけない部分はあるので意識しながら(この日まで)過ごしてきました。クボタは大きなフォワードの選手が重さで勝負してくる。そこはどうしても(競技特性上)避けては通れない。(当日までの)1週間を通し、またきょうの試合でも、フォワードの人たちは頑張ってくれました」
——ご自身も活躍。まずプレースキックは、6本中最初の1本以外を成功させました。
「個人的には風のところが少し難しいと思いながら蹴ってしまった部分も。途中からある程度、吹っ切れながらできました」
——強風の吹く埼玉県熊谷市でトレーニングしているから、都内の風は苦にならないのでは。
「全然、苦にはなります! もうちょっと風が読めるようにしたいです」
——30-30と同点で迎えた最後の1本は右隅から成功。得意なのですか。
「得意とかそういうのはないですけど、(左右の)どちらからというより、自分の蹴りたい場所へボールを持っていくことを考えます。あの時は正直、身体は疲れていましたし、時間もあまりなかったので、もう、ただ蹴るというだけ。チームとしての流れがあったからこそ、あのキックに繋がったかなと。プレッシャーを感じるほどの時間もなかった」
——その直前には、30フェーズ超(38フェーズ)のアタックを成立させました。
「30フェーズもあったんですね…。 へとへとだったので、でも、チームとしても攻めるしかなかった。ボールを持ちながらアタックすることで相手にプレッシャーがかかるとは思っていましたし、そのなかでスペースもどんどん出てくる。最後は本当に気力の部分(勝負)ではありましたけど、ボールをキープし続けられたことが結果的によかったです」
——ちょうどその時間帯は、若いリザーブのメンバーがプレーしていました。
「皆がやるべきことを理解していたし、それをチームのためにやりきれたことはよかったです」

——さかのぼって69分のトライ(直後のゴール成功で25-27)は、山沢選手のビッグゲインがきっかけで生まれたと言えます。中盤で防御ラインを突き破ったそのシーンを振り返ってください。ディフェンスはどう見えていましたか。
「どう見えていたというか、自分がその時に行けるかなという感じで勝負しにいったところです。基本的なアタックをしているなか、しっかり自分の前を見ながらプレーしたいとは思っています。自分にチャンスがあれば、狙っていけるようにしたいです。
(総じて)うまくいったところと、いっていないところがある。チームとしてベースのところがよかったからこそ、そういったプレーにもチャレンジできた。助け合いがあったことで、(自らの走りを起点とした)トライができました」
——15-10とした前半は、キックバトルで優勢。ウイングの竹山晃暉選手とともに、多彩な弾道でエリアを取っていました。
「晃暉はキックが上手。ああいうふうにエリアを取ってくれたことはチームとしてすごく助けになっていると思います。
(多彩なキックに関して)プランとして持っていたわけではないですけど、そこ(バックスペース)にチャンスがあるかなというの(感触)は試合の中でありました。その人の判断、その場のコールやコミュニケーションに沿って選択しました」
——それは自身が蹴る時も…。
「(周りの選手に)『そこ(その時々の穴場)』のスペースは見ておいてもらえるようにと、少し喋ったりはしました」
——それにしても、本当に激しく楽しいゲームに映りました。
「見ている人は楽しかったかな、と思います! やっているほうは…フォワードでの勝負が多くあったので、何て言ったらいいのかわからないですが、フォワードの人たちが頑張ってくれた試合でした」

——今後は。
「1試合、1試合、チームとしてやるべきことをやる。それを積み上げていく必要があります。(大切なのは)本当にチーム力で、それがパナソニックの強み。試合を重ねるごとによりよくしていきたいなと思っています」
——ご自身は一時肋軟骨を痛めて離脱も、カムバック。弟で昨季得点王の山沢京平選手もそろそろ故障から戻りそうですか。
「(山沢京平のことは)待っている感じです。弟が来るまで、グラウンドにいられるようにしたいです。一緒にやりたい」
——ライバル心は。
「負けたくないとは、思っていないです。一緒にやりたい、です」
今季好調の様子。そう問われた本人は、「自分がいいというより、チームの土台があるからこそ。チームに助けてもらいながらできている」と話した。