logo
良き争いの先のいま。山本浩輝[東芝ブレイブルーパス東京]
山本浩輝/やまもと・ひろき。1992年11月17日生まれ、33歳。187センチ、95キロ。(撮影/松本かおり)
2026.01.21
CHECK IT OUT

良き争いの先のいま。山本浩輝[東芝ブレイブルーパス東京]

田村一博

 すでに過去3シーズンの合計出場試合数に並び、プレータイムは大きく超えた。
 開幕戦こそ敗れるも、3連覇へ向けて勝利を重ね始めた東芝ブレイブルーパス東京。日本代表のHO原田衛やLOワーナー・ディアンズが活躍の場を海外に移し、怪我人も数人いる。前シーズンとは違う布陣でチーム力は上向きになっている。

 その中で今季ここまでの5試合で、8番のジャージーを着ているのが山本浩輝だ。2015年度シーズン加入のベテランは、ハードワークでチームが前に進むことに貢献する。
 第5節の浦安D-Rocks戦(38-27)では10キャリー、16タックル成功(RUGBYPASS参照)と、簡単ではなかった試合の中でよく働いた。

 第4節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(47-22)でも16タックルに成功している。そのうち3つは相手を押し戻すもの。忠実なサポートランからトライも挙げた。
「たまたまです。サポートしていたら、ボビー(CTBロブ・トンプソン)がいいパスをくれたので、あとは走るだけで良かった」
 自分のことは横に置いて、「全員のサポートする意識が強かったからパスがつながった」とそのシーンを振り返った。

「若手や、今シーズンに初キャップをとった選手も多く、去年、一昨年と比べてうまくいかないことも多々ありますが、チームは日々成長できていると実感しています」

1月10日におこなわれたダイナボアーズ戦ではトライを挙げた。「走るだけでした。ハンドオフでうまくかわせた」。(撮影/松本かおり)


 そのダイナボアーズ戦後、トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(以下、HC)は山本について、「とても高い評価をしています。素晴らしい選手。プレシーズンからリーダーシップを発揮してくれています。特にどこが、というより、すべてのプレーの質が高い。毎試合、チームのベストプレーヤーの一人と言っていいパフォーマンスを見せてくれている」と話した。

 同HCは今季の準備期間にあたるプレシーズンの試合で、山本をゲームキャプテンに指名した。
「去年はシャノン(フリゼル)やリーチ(マイケル)の存在もありプレータイムが少なかったのですが、スキルセットが高く、チャンスを待ち続け、いま、それを掴んでいます。ラグビーを楽しみながら、一貫性のあるパフォーマンスを出してくれているのが嬉しいですね」

 2024-25シーズンは2試合、2023-24シーズンは3試合とプレー機会は限られ、すべてベンチスタートだった。その前年は出場ゼロ。
 しかし、本人はそれを停滞とは感じていなかった。

「(プレータイムの少なかった近年も)いい争いができていました。試合にはなかなか出られませんでしたが、年齢が上がっても成長できていると実感できていました。それがいまにつながっていると思います」

 続けて、「ジャッカルとかブレイクダウンはバックローの練習で、お互いにアドバイスし合う。そこで、いい成長ができるんです」と、クラブの空気の良さも伝える。

 ポジティブに人生を歩む。
 どんな時も前進できる。そう考えていることが、言葉の端々から伝わる。
 ピッチに立ち続ける今季の心境を「試合に出続けることでいろいろ(新たに)見えてくるものもあるし、出続けたい気持ちも強くなるし、やり甲斐もある」と表現する。

 昨季までの自分の置かれた状況も、「佐々木(剛)、シャノン(フリゼル)、(リーチ)マイケルさんがいつも出ていて、そこに加われなかったのは悔しいですけど、いいポジション争いはできていました。試合に出られないと決まった時は悔しいですけど、それを一日噛み締めて、チームのためにできることをする。自分は悔しくても、チームは勝利を目指し続けるんですから」。
「切り替えは得意なんです。そこは(自分の)いいところ」と表情を崩す。

「この先、バックローにも怪我人(戦列を離れている昨季レギュラー陣)が戻ってくると予想されます」と話を向けても、「やることは変わりません。(選手を)選ぶのはヘッドコーチ。その都度、与えられた仕事をやり続けるだけ。もちろん、争いに負けない気持ちは持ち続けます」と芯がぶれない。

日本代表キャップ6を持つ。2016年にアジアラグビーチャンピオンシップに4試合出場し、スコットランド戦に途中出場。2022年のウルグアイ戦にも出た。セブンズ代表の経験もある。(撮影/松本かおり)


 そして、「いろんな経験をしてきたことが自分の中で生きています」と、仲間たちを代表してピッチに立っていることを忘れない。
「出られないメンバーの気持ちもすごく分かる。みんなの頑張りをサポートしたい」は、チームマンゆえの言葉だ。

 今季開幕前、「去年のBチームの試合もそうでしたが、プレシーズンにゲームキャプテンを任されたのは、個人的に良かったと思います。うまくやれていたかどうかは分かりませんが、役割を与えてもらい、責任を感じながらプレーできてよかった。自分が引っ張っていく、というより、シーズンに向かっていく中で、チームが一丸となるためのサポートができれば、と思ってやりました」と話した。

 自分の強みを、「泥臭いプレー。そして、気の利くプレー」と言う。
「フィジカルで圧倒するというより、ここにいてほしいな、というときにいられるプレーヤーになりたい。若い時はがむしゃらにどんどん動いていましたが、いまは、ポジショニングなどを意識し、考えながらプレーしています」

 そのポジショニングには、ピッチ上だけではなく、チームの中での自分の立ち位置や振る舞いも含まれているのかもしれない。




ALL ARTICLES
記事一覧はこちら